第58回目 ツバメ
1日に500回も巣と餌場を往復する生き物 ツバメ
北海道から九州までの地域に飛来して、人家や商店、駅などに
泥で巣をつくるんだよ。
体は黒色で、お腹は白く、額と喉が赤いよ。
肉食で、空中で昆虫を捕えて食べて、水も水面を滑空しながら
飲むんだよ。
オスメスともに寿命は7年くらいで、そのうちの約2週間を卵とし
て過ごして、幼鳥の期間は1年だよ。
オスはメスに比べて尾が長いのが特徴だよ。
子育てが終わると、川沿いのヨシ原などで数千羽から数万羽が集まっ
て、寝ぐらをとるんだ。
8月中旬から10月にかけて東南アジアへ渡るんだよ。
体長は、15~20cm、翼開長は30cmくらい。
喉の赤い羽毛が生えた部分の面積が大きく、鮮やかで、太って
いるオスほどモテると考えられているんだよ。
ツバメは長距離を移動する渡り鳥なんだよ。
春から夏を日本で過ごしたツバメは、9月中旬から10月の終わり
になり気温が下がると、餌となる昆虫が少なくなる日本を後にし
て、台湾やフィリピン、マレー半島、オーストラリアなど3000~
5000kmも離れた南の国へ移動するんだ。
日本を出発し、集団で行動して、台湾以南に渡る場合はフィリピン
近海でばらけて目的地に進んでいくんだって。
そのスピードは、時速45~50kmほど。
途中で休みながらも、1日に最長で300kmも移動することが確認され
ているんだよ。
太陽の位置を目印にしながら進路を定めているそう。
ツバメの巣は、民家の軒下などに主に田んぼなどから運んできた
泥や枯草を使って作られているんだよ。
3月頃からつがいで協力して作業を開始するよ。
口から分泌される唾液などを練り込むことで強度を高め、少しず
つ泥を重ねていくことでお椀状の巣ができるんだ。
枯草や自らの羽毛を敷き詰めてフカフカにして、産卵用のベッド
をつくるんだよ。
産卵をするのは4~5月。
1日に1個ずつ、合計で3~7個の卵を産みます。
卵はメスが中心になって温め、2週間前後で孵化します。
雛にはオスとメスが交代で餌を与えて、親鳥たちは1日に500回も巣
と餌場を往復するんだって。
その間、雛は巣の中でじっと待ち続けるんだよ。
梅雨を迎える頃になると、いよいよ巣立ち。
巣立ってから1週間前後は親から餌をもらう個体もいるよ。
巣立ちまで生き残ることができる雛は5割程度なんだ。
この後続けて2回目の産卵と子育てをおこなう親鳥もいるけど、
夏までにはすべての雛が巣立っていくんだよ。
秋になると暖かい南の国を目指して日本を後にするけど、親鳥たち
は翌年の春になると、昨年作った巣の近くで待ち合わせをして、再
び産卵をするんだ。
体が小さくて、強く育たない可能性のある雛には餌を与えずに巣か
ら落とすこともあるんだそう。
何度も餌場と巣を往復する献身的な子育てかと思いきや、意外とシ
ビアな一面があるんだね。
第58回目 ツバメ 完